鮎のいろいろ

鮎の生態

サケ目・アユ科に分類される魚で成魚は川で生活し、産卵するが、
生活史の三分の一程度を占める仔稚魚期には海で生活する。
このような回遊は「両側回遊」(りょうそくかいゆう)と呼ばれる。
ただし、河口域の環境によっては、河口域にも
仔稚魚の成育場が形成される場合もある。

水質の綺麗な中流域では、夏季には鮎の密度が高いと川原が鮎の芳香で満たされる事がある。

仔魚はカイアシ類などのプランクトンを捕食して成長する。
稚魚期には、プランクトンや小型水生昆虫、落下昆虫を捕食する。
体長59~63mmになると鱗が全身に形成される。
稚魚は翌年4月-5月頃に5-10cm程度になり、川を遡上する。
この頃から体に色がつき、さらに歯の形が岩の上のケイソウ類を食べるのに適した櫛(くし)のような形に変化する 。
石に付着するケイソウ類(バイオフィルム)を主食とするようになる。

アユが岩石表面の藻類をこそげ取ると岩の上に紡錘形の独特の食べ痕が残り、
これを特に「はみあと(食み跡)」という。

アユを川辺から観察すると、藻類を食べるためにしばしば岩石に頭をこすりつけるような動作を行うので
他の魚と区別できる。

 

鮎の呼び名

アユの語源は、古語の「アユル」から来たものだとされている。
アユルとは落ちるという意味で、川で成長したアユが産卵をひかえて、
川を下る様からつけられた呼び名である。

アイ、アア、シロイオ、チョウセンバヤ(久留米市)、アイナゴ(幼魚・南紀)、ハイカラ(幼魚)、氷魚(幼魚)など、
雅語的表現や地方名、成長段階による呼び分け等によって様々な別名がある。
また、1年しか生きないことに由来する「年魚」体表の粘膜に香りがあることから「香魚」
鱗が細かいことから「細鱗魚」などがあてられていた。

 

鮎と病気(食べるうえで知って欲しいこと)

冷水病(れいすいびょう)
サケ、マス、アユなどに発症する致死性の感染症。
人間への感染は確認されていない。

特徴
発生水温は12~26℃。16~20℃での発病例が70%以上。
体表の白濁、鰓蓋下部の出血の他、体表の潰瘍等の穴あき、
貧血を症状を発症し死ぬ。
稚アユでは、輸送2~3日後に急激に大量死、その後も続く。
養殖場で冷水病が発生すると、その排水が流れ込んだ川でも発生する。
保菌アユを掬ったタモ網や、長靴などが感染源となったとされている。

横川吸虫(よこがわきゅうちゅう)
小腸に寄生する人体寄生虫の一種。

症状
少数感染の場合、ほとんど自覚症状がない人が大半だと言われている
多少下痢が多くなる程度なので、自覚症状の存在を
強く意識していないだけであるとの見方もある。
多数感染の場合は腹痛や下痢などの症状をはっきりと示すことが多くなり
慢性カタル性腸炎の原因になるといわれる。
さらに、小腸の絨毛の間に侵入することが慢性炎症につながるとする説もある。

宿主
第1中間宿主:カワニナ
第2中間宿主:アユ、シラウオ、ウグイ、フナ、コイなどの淡水魚
終宿主:ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ネズミ類、サギ類、カワウ
トビなど魚食性、あるいは淡水魚を食べる哺乳類や鳥類

予防
アユやシラウオを加熱せずに食べないことが第一であるが
アユの背越し(背越し作りの刺身)やシラウオの握り寿司などは
広く認知された伝統料理でもあり
少数感染では深刻な症状を起こすことが稀で
成虫の寿命も短いため、特に真剣に感染予防の措置がとられていないのが現状である。
非加熱のアユやシラウオを食べないように心がけていても
焼きすぎて味覚を損なわないように調理されたアユの塩焼きの体内で
生焼け状態の組織に少数のメタセルカリア幼生が生存していたり
アユを調理したまな板に、脱落した鱗などから幼生が付着して
ここを介して他の食材に付着して感染源となることが報告されている。

治療法
横川吸虫症の治療には早朝空腹時にプラジカンテルを投与し
約2時間後に下剤を与えて排泄を促すのが駆虫に有効である。